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老健での看取り 2 デスカンファレンスが教えてくれるもの

カテゴリー:地域で医療する楽しさ 更新日時 2017/10/25

 私たちの老健ではこの5年間で60名を超える方の看取りを行ってきたが、通常、老健で看取りケアが行われることは一般的ではないだろうと思う。私たちが比較的容易に取りかかることができたのは前身が病院で、看取りの経験のある医師と看護師がいたからだった。けれども、その分、本来ケアの主役であるところの介護士は後ろに控えてしまうことが多かった。なんとか彼らを巻き込んだ形で、多職種で協働して老健の看取りケアを行いたい。そのための教育や仕組みをどう作るか。

 日々の業務で一定に確立された考え方や動き方を変えることは意外と難しい。実際のケア(排泄や体位変換や入浴や保清など)は介護士が行っているのだけれども、行われているケアがあたりまえすぎて、「看取り」だから、という感覚をそこになかなか持ち込めないのだ。

 そこで、それまでも行っていたお悔やみ訪問(亡くなって四十九日ころに訪問させていただいている)に必ず介護士と看護師が行くようにした。後に担当が必ず行くようになった。その際に副施設長のアイディアでお線香と共に入所中の写真をアルバムにして持って行った。これだけでも彼らは彼らなりに共に過ごした日々を思い返すことになる。

 ご自宅に訪問してその人となりに触れる。老健だから寝たきりに近い状態で入所されるが、お家にはその人の輝いていた時代の名残や証が満ちている。ご家族のどんなことがうれしかったか悲しかったか、リアルな思いを聞かせていただく事ができる。おかげでその人の人生の最終章を伴走したんだという実感が持てるようになった。

 そして、最終的にデスカンファレンスで、ケアの振り返りを行う。良かったこと反省していることモヤモヤしていることを表出し共有して、看取りの意味を再確認していく。

 最初は言葉を出すのは限られた人たちだった。相変わらず介護士は下を向いている。関わった実感がないと言う。グリーフ担当の委員が工夫をして、事前にアンケート形式でそれぞれ書いてもらうことにした。

 多職種協働の難しさはここにある。私たちの組織においては職種間のヒエラルキーはない。はずなのだが、知識や経験の差がどこかに壁としてあって、なかなか介護士が口火を切ることは少なかった。

 あらかじめ「書いて出す」だけで他者の気持ちや評価を知ることになり、自分の感じたことが大きくずれていないことを確認するだけで、勇気が生まれる。そして発言してみようという気持ちになる。たったそれだけのことだが、「みんな」で看取りに関わり、良い時間が過ごせたんだという気持ちになるまでにこれまでの時間が必要だったように思う。

 まだまだ不完全で成長途上ではあるが、たまたまあづまの里に勤めたスタッフとたまたまここの施設に入所し最期の時間を過ごすことになった利用者さんの出会いが私たちを育て豊かにしてくれて、利用者さんやご家族の時間を豊かにすることができたなら、やっぱり私には感謝の言葉しかない。

 ありがとうスタッフたち、そして亡くなったお一人お一人には最期の時間を過ごして下さって、心からのありがとうございました、を。

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