ドクターブログ たくさんの小さな光に囲まれて

『ありがとう』と言える日々

カテゴリー:地域で医療する楽しさ 更新日時 2019/03/15

認知症の学習会で伝えたもう一つのことは「ありがとう」

認知症の方が持てる能力の最大限を使って日々を生き、私たちのケアを受けて下さっている。

 私たちはそのことに「ありがとう」を伝えていますか?「ケアをしてあげている」と思っていませんか?  

 認知症や障がいを持って他者から何らかのケアを受けざるを得なくなった時、多くの方たちはそのことを「情けない」とおっしゃる。「バカになっちゃって、なにがなんだかわからん」辛そうな顔でおっしゃる90歳。

 そう思わせたらケアを提供する側の「負け」と思っている(ホントは勝ち負けではないんですけどね)けどなかなかその思いをひっくりかえすことができなくて、私自身も「情けない」なと。負の連鎖!!

 でも、その方たちは障がいを持ったのは究極その人のせいではなくて病気や事故という不運なのだと思うし、いつか自分もその立場になるかもしれないと思う時、どんなふうに遇されたいと思うかといえばやっぱり優しくされたい以上に普通に大切に、そして自分を尊重して欲しいと強く願うだろうと思います。そして、できないことが増え、わからないことが増えていく私の日々を想像するだけで叫びだしたくなるだろうと思います。

「私を見て 私をわかって 私の自尊心を支えて」と。

 

 歯磨きを協力していただいて、することができました。「ありがとう」

 支えたら立ってくださいました。「ありがとう」

 おはようと言ったらこちらを向いて見てくれました。「ありがとう」

 私のケアを受けて下さって「ありがとう」

 私に働くことの意味を教えて下さって「ありがとう」

 私に年をとり障がいを持つことの意味を教えて下さって「ありがとう」

 あなたが存在してくれていることに「ありがとう」

 

 私たちが患者さん、利用者さんに「ありがとう」をお伝えする場面は数限りなくあり、そのことに気がつけるかどうか、そしてちゃんとお伝えできるかどうかは私たちが仕事に誇りとやりがいを感じられるかに大きく関わってくるような気がします。だから、ありがとうをちゃんと言いましょうね。

 

 そして、同じくらい大切なこと

 同じ目的を持ち共に仕事をする仲間たちにちゃんと「ありがとう」を言えていますか?あなたは「ありがとう」と言われていますか?

 「ありがとう」は言われた方も言った方も気持ちがよくなる魔法の言葉です。スタッフステーションで耳を澄ますと「ごめんねぇ」とか「すみません」が聞こえてくるけどそれに比べて「ありがとう」が少ない気が・・・

 「それ、謝る場面じゃなくて感謝する場面だから」って心の中でつっこみたくなります。

 なので主任会議で宣言しました。

 

 「ありがとう」をたくさん言い合える私たちになります!!

 

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