ドクターブログ たくさんの小さな光に囲まれて

小説より奇なり

カテゴリー:地域で医療する楽しさ 更新日時 2017/08/23

 ある余裕な午後の外来のこと、ふとしたことで患者さんと昔の恋バナに。

 道央圏に住んでいた二十歳代女性が、思い立って女友達と二人で道東旅行に。「その時、立ち寄った足寄の三笠そばが美味しくて、この町が気に入ってしまって、結局その友達と一緒に引っ越してきたの。その友達は数年して帯広に行ってしまったけれども、私は足寄に残って結婚したのね。相手は農家で反対されたし、そのとき役場の人からもお付き合いを申し込まれていたけど、結局その人と結婚して今に至ります」と。

「もて期、でしたね? でも、ご家族は反対されたでしょう?!」

「大反対されました。縁を切るってまで言われて。生まれた時からの許婚もいたから、大変だった」

と可愛らしく微笑まれるご当人は八十歳代後半の元気なおばあさま・・・・とすれば旅行で足寄に来た時は戦後間もない昭和二十年代。その時代の道央からの旅は今にたとえれば、JRで東京から青森に行くようなものだったでしょう。その時代の女性の二人旅や、引っ越してくる行動力は現在のシャキシャキした話し方からもどれほどのものか想像に難くありません。

 すでにご主人は他界され、孫や子どもたちに囲まれながら自らも開拓した農地に根を下ろして暮らしておられる姿にみじんも後悔はなく、自分で自分の運命を切り拓いてきた自負のようなものも感じられて、ワカイモンとしては負けずにがんばろうと思わせていただいたのです。

 とはいっても、ちょっとしたドラマになりそうな波瀾万丈の半生が、こんな身近にあるなんて、「小説より奇なり」です。

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