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奪われる命の痛み

カテゴリー:日々清々 更新日時 2022/05/09

3月は私にとって、東日本大震災という自然の猛威の前に多くの命や財産そして生活を奪われた人々に心を寄せる月だったけれども、それにロシアによるウクライナ侵攻が加わってしまった。そして、4月も過ぎ5月に入って今もなお戦火は止む気配がない。

 

突然に命や生活が奪われる苦しさは自然災害も戦争も同じであるようで、同じではない。戦争にはそれを引き起こした人為的な原因があり、それは回避可能であったはずだと思うと、その理不尽さ、口惜しさは比較にならない。

父であり夫である人と別れて他国に避難する人々、水や食糧や医薬品の不足する中で命の危機にさらされ続ける人々、彼らを守ろうとその地に残り続ける人々、そして理不尽に殺され十分な埋葬すらされない無数の死、奪われた子供たちのいのち。

 

高校生の頃思い描いていた私の人生で起こるはずのないことの一つであった、侵略戦争そして第三次世界大戦の危険性が現実となり身近にあることにも驚愕する。私の浅い理解でこれまでの局地的な紛争は、民族や宗教の違いに基づくどうしても相容れない価値観の間で起きていることだと思っていた。ところが、テレビで見ていても、この侵攻の本当の目的、ゴールが理解できないのだ。他所の国を自分の属国とすることにこんなに大きな犠牲を払わせることが自分の国のどんな利益になるというのだろう。いまどき、他国を攻撃することがどれほど自国を危うくすることだということをほとんどの人は知っているのに。なのに!! なぜ・・・・

 

北海道の片田舎の私のちいさな祈りがどれほどの力もないことを知りつつ、祈っている。ちいさな祈りが集まって大きな力となることを信じて祈り続ける。

そして、せめてものできることとして、赤十字やユニセフなどに寄付をして、それが彼らの水や食べ物や毛布となることを願うしかない。

 

そう願ってクリニック外来の窓口に募金箱を設置しました。いただいた優しいお気持ちは日本赤十字を通じてウクライナおよびウクライナの難民に届けられます。

 

ご協力よろしくお願いいたします。

 

一日でも早くウクライナに安全な日々、当たり前の日常が戻ってきますように。地球が人類を含め全ての生き物が平和と繁栄を共有できる星でありますように。 ささやかに祈り続けていきます。

 

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